牛舎・養鶏所・放牧地の太陽光発電 設置ガイド|畜産施設の電気代を抑える3つの設置パターンと補助金
牛舎・養鶏所・放牧地の太陽光発電 設置ガイド|畜産施設の電気代を抑える3つの設置パターンと補助金
畜産施設への太陽光発電—設置場所で補助金ルートが変わる
牛舎・養鶏所・放牧地への太陽光発電設置は、電気代削減と再エネ活用を同時に実現できます。ただし「建物の屋根」への設置と「農地(牧草地・放牧地)」への設置では、使える補助金が異なります。本記事では、3つの設置パターンと2026年度の補助金制度を現場取材をもとに解説します。
第1章 畜産施設の電気代問題—現場の声
弊社は2026年6月、佐賀県内の牧場を訪問し、農業展示会でも複数の畜産事業者から話を聞きました。共通して挙がったのが「電気代の高さ」という悩みです。
畜産の養鶏場・酪農施設では長時間稼働する換気扇・ヒーター・冷却装置が主な電力消費源です。農業エキスポでは「年間数百万〜数千万円の電気代がかかる」という声を複数聞きました。自家消費型の太陽光発電を導入した場合、電気代の30〜50%削減が目安とされています。(設備規模・地域・単価により変動。導入前に個別シミュレーションを推奨します)
第2章 3つの設置パターンと特徴
パターン1|屋根設置(屋根強度に不安がある場合)
フレキシブルパネル(薄膜系)を採用し、構造負荷を低減して既存の畜舎屋根に後付けします。軽量のため鉄骨・木造を問わず対応しやすいのが特徴です。発電効率は結晶シリコンよりやや低いため、長期収支シミュレーションと長期保証の確認が重要です。
パターン2|屋根設置(屋根強度に余裕がある場合)
鉄骨造の新築畜舎など耐荷重に余裕がある場合は、高効率の結晶シリコンモジュールを採用できます。設置前に構造計算書を取得し、屋根耐荷重診断を必ず実施してください。
パターン3|放牧地・牧草地(営農型ソーラーシェアリング)
パネルを地面に対して垂直に立て、両面で受光する方式です。地表を広く空けられるため放牧や採草の妨げになりにくく、大型機械の通行や家畜の移動もしやすいのが特徴です。東西向きに設置すると発電のピークが朝夕に分散し、正午前後に偏りがちな出力を平準化できます。さらに垂直構造は積雪が滑落しやすく、雪国でも冬季の発電ロスや除雪負担を抑えられる利点があります。
農地(牧草地・放牧地)に農地転用許可(一時転用)を取得したうえで支柱を設置し、パネル下部での農業継続(牧草栽培・放牧)を維持しながら発電する方式です。農地転用手続きが必要ですが、後述の環境省補助金の活用が可能な点が最大のメリットです。
アレイ型(水平設置)
広大な牧草地に適した水平配置方式。パネル下で牧草を栽培しながら、売電や自家消費に活用できます。
アレイ型の設置事例(放牧牧草地)─ 水平配置パネルの下で牧草栽培・放牧を継続

垂直型(両面パネル・垂直設置)
パネルを垂直に立てる方式で、放牧地の採草阻害を最小化します。東西向きに設置することで朝夕の発電量を確保しつつ正午前後の出力を平準化でき、積雪地域では雪が滑落しやすいメンテナンス上の利点もあります。

第3章 2026年度の補助金制度
補助金の適用可否は設置場所によって大きく異なります。2026年6月時点の情報を整理しました。(制度は毎年度変更があります。申請前に必ず最新の公募要領を確認してください)
牛舎・養鶏所の屋根設置:環境省の営農型補助金は対象外
建物屋根への通常設置は「農地上に支柱を立てて下部農業を継続する」という営農型太陽光発電の要件を満たさないため、環境省の営農型太陽光系補助金は対象外です。(根拠:農林水産省ガイドラインによる農地×農業継続の要件)屋根設置では「ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業」(補助率1/2・上限6,000万円・自家消費率50%以上等の要件あり)等の活用が主流です。
▶ 出典: 農林水産省「営農型太陽光発電について」https://www.maff.go.jp/j/shokusan/renewable/energy/einou.html
弊社記事「ストレージパリティ補助金 2026」https://splight.co.jp/wp/oshirase/storage-parity-subsidy-2026-complete-guide/
牧草地・放牧地への営農型設置:環境省補助金が活用可能
農地に農地転用許可(一時転用)を取得したうえで営農型設置する場合は、環境省「地域共生型の太陽光発電設備の導入促進事業(営農地・水面等)」(執行:ETA)が活用できます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助率 | 1/2(上限1億5,000万円) |
| 執行団体 | 一般社団法人 環境技術普及促進協会(ETA) |
| 主な要件 | 農地転用許可を取得のうえ、下部農業継続を維持しながら発電電力を自家消費すること |
| 対象設備 | 太陽光発電設備(蓄電池・PPA・リースも対象。蓄電池は必須でない) |
| 牧草地の適用 | 農地転用許可を取得することで対象となりうる |
▶ 出典: ETA公募情報 https://www.eta.or.jp/offering/2025/solar/index.php
弊社記事「環境省太陽光補助金まとめ(令和8年度)」https://splight.co.jp/wp/oshirase/eta-subsidy-2026-complete-guide/
営農型太陽光発電の全国実績(参考)
農林水産省が令和7年12月に公表した統計によると、営農型太陽光発電に係る農地転用許可の累計件数は6,137件、設備下部の農地面積は1,361.6haに達しています(令和5年度末時点)。全国で多数の設置実績があることが確認されています。
▶ 出典: 農林水産省「営農型太陽光発電設備設置状況等について(令和5年度末現在)」(令和7年12月公表)
https://www.maff.go.jp/j/nousin/noukei/totiriyo/attach/pdf/einogata-64.pdf
畜産×営農型の運用事例(参考)
栃木県のグリーンウィンド(現:風弥農園)は農地に営農型太陽光発電を設置し、パネル下で豚・牛・羊を放牧しながら牧草・小麦を栽培する循環型農業を実践しています。発電電力は主に売電しており、余剰電力を自社のビニールハウス等で一部活用しています。補助金使用の有無は元記事に記載がなく不明です。本事例は「畜産×営農型の運用イメージ」としての参照に留め、補助金採択実績ではありません。
牧草地設置の注意事項
- 農業委員会への農地転用許可(一時転用)申請と営農計画書の提出が必要
- 毎年の農業継続実績確認が求められる(報告を怠ると許可取消リスク)
- 補助金の公募時期・要件は毎年度変更あり。環境省・農水省・ETA公式サイトを要確認
畜産施設への太陽光発電 導入メリット
メリット
1.電気代の大幅削減:搾乳機・換気扇・冷却・保冷・照明・給餌など、畜産施設は24時間電力を使い続けます。発電分を
自家消費に回すことで、上昇し続ける電気代を恒常的に圧縮できます。
2.畜舎の暑熱対策・環境改善:屋根にパネルを載せると直射日光を遮り、夏場の畜舎内の温度上昇を抑えられます。放牧
地・牧草地の営農型でも、パネルの日陰が家畜のヒートストレス軽減につながると期待できます。
3.停電・災害への備え(BCP):蓄電池を併設すれば、停電時も換気・搾乳・保冷など最低限の設備を動かせ、家畜の健康
や生乳・畜産物の品質を守れます。
4.遊休スペースの有効活用:広い畜舎屋根や農地という、もともと持っている資産を収益・コスト削減に変えられます。

デメリット
1.初期投資の負担:設備費はまとまった金額になります。導入前に発電量と電気代削減効果から回収年数をシミュレーシ
ョンすることが欠かせません。
2.屋根の強度・構造:既存の畜舎は耐荷重に余裕がないことがあり、構造診断や、場合によっては軽量パネルの採用が必
要です。
3.農地転用などの手続き:放牧地・牧草地の営農型は、農地転用許可(一時転用)や下部農業の継続要件など、手続きと
運用上の制約があります。
4.発電と消費のタイミングのズレ:夜間の電力使用が多い施設では、昼間の発電と消費時間帯がずれます。自家消費率を
高めるには蓄電池の併用が有効です。
まとめ|検討の3ステップ
STEP 1: 設置場所を決める——屋根か農地(牧草地)かで補助金ルートが変わる
STEP 2: 補助金・融資を確認する——農地設置はETA補助金(1/2補助)、屋根設置はストレージパリティ等
STEP 3: 現地調査・シミュレーション依頼——屋根耐荷重診断・農地転用手続きは専門家に相談
弊社では全国にて畜産施設への太陽光発電導入を支援しています。補助金申請のサポートから設計・施工まで、ぜひお気軽にご相談ください。
営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)のご相談
牧草地・放牧地・農地での営農型太陽光発電について、農地転用の検討・パネル配置・遮光率設計・営農型補助金の申請まで、splightが全国対応で一貫サポートします。営農を続けながらの導入をご検討の方はお気軽にご相談ください。