ソーラーシェアリング 農地法改正2026年版|農地転用要件・一時転用ガイドラインの変更点と申請手順
①法改正の背景と概要
ソーラーシェアリングの農地転用ルールは、2024年4月に大きく変わりました。さらに国は、2027年4月1日から新しい仕組みに移る案を示しています(2026年7月24日から8月22日まで意見を募集。2026年10月1日時点で、正式な決定はまだ公表されていません)。
ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)とは、農地の上部に太陽光パネルを設置して発電しながら、下部で農業を継続する仕組みです。1枚の農地で「農業収入」と「売電収入(またはFIT/FIP収入)」の両立が図れるとして、全国で普及が加速しています。一時転用の許可は2023年度までに累計6,137件、パネルの下の農地は1,361.6haです(農林水産省の集計)。
しかし、普及が進む一方で「名目上だけの農業継続」や「収量が著しく低下しているのに許可が更新され続ける」といった問題事例が相次いで発覚しました。2023年度末に営農に支障があった設備は5,167件中1,221件(24%)で、その71%(872件)は営農者の栽培管理が適切でなかったことによる収量の減少や生育不良でした。農林水産省は、これまで国の通知で定めていた一時転用の許可基準などを農地法施行規則に定め、具体的な考え方をまとめたガイドライン(令和6年3月25日 5農振第2825号、令和7年3月31日改正)を示しました(2024年4月1日施行)。
農林水産省は2025年から「望ましい営農型太陽光発電に関する検討会」を開いており、第6回(2026年4月15日)で、遮光率や設備の高さなどの数値を含む制度見直しの案を示しました。その後、関係する省令の改正案について、2026年7月24日から8月22日まで意見募集が行われました(e-Govパブリック・コメント 案件番号550004381)。
「ソーラーシェアリングの法改正はいつから何が変わったか?」
2024年4月1日に施行された農地法施行規則の改正と、ガイドライン(令和6年3月25日 5農振第2825号、令和7年3月31日改正)が、いまのルールです。次の見直しでは、国が「望ましい営農型太陽光発電」の考え方を示し、それに合うと市町村が認定することを一時転用の許可の条件にする案が示されています。施行は2027年4月1日の予定です(案。2026年10月1日時点で未決定)。
②変更になった農地転用要件
2024年の改正により、農地転用の許可要件は「通知ベース」から「法令ベース」に引き上げられ、より厳格な書類・基準が求められるようになりました。
いまのルール(2024年4月1日から)の要点
- 許可基準の根拠:農地法施行規則とガイドライン(2024年3月までは国の通知=2018年の通知で扱いを示していました)
- 一時転用の期間:原則3年以内。担い手が自分の農地や借りている農地で行う場合、遊休農地を再生して使う場合、第2種・第3種農地を使う場合は10年以内(2018年からの扱い)
- 収量:同じ年の地域の平均と比べて、おおむね2割以上減らないこと(遊休農地を再生する場合の最初の許可を除く)
- 地域計画の区域内:地域計画の協議の場で、営農型太陽光を行うことについて合意を得た区域で行うこと
- 撤去:撤去費用を設置者が負担することを証する書面を添えること。撤去に必要な資力と信用があること(FIT・FIPの撤去費用の積立ても考慮されます)
- 添付書類:設計図、営農計画書(栽培計画・収支の見込み)、営農への影響の見込みとその根拠、撤去費用の負担を証する書面、毎年の報告を約束する書面
- 毎年の報告:栽培実績書と収支報告書を、翌年2月末までに許可権者(都道府県知事または指定市町村の長)へ提出
- 大きな案件:支柱部分と下部の農地の合計が4haを超える場合は、許可権者が地方農政局へ相談することが望ましいとされ、毎年度の現地調査の対象になります
一時転用の許可期間が10年以内になる3つの場合
一時転用の許可期間は原則3年以内です。次のいずれかに当たる場合は10年以内になります。
- 担い手(認定農業者、認定新規就農者、効率的かつ安定的な農業経営、将来法人化して認定農業者になる見込みの集落営農)が、自分の農地や借りている農地で行う場合
- 遊休農地を再生して使う場合
- 第2種農地または第3種農地を使う場合
この10年以内の扱いは2018年の国の通知から続いているもので、2024年の改正で新しくできたものではありません。なお、毎年の栽培実績と収支の報告、地域の平均と比べて収量がおおむね2割以上減らないこと(遊休農地を再生する場合の最初の許可を除く)は、期間の長さに関係なく、すべての許可に求められます。


2027年4月からの新しい仕組み(案)で示されている数値
農林水産省が検討会(第6回・2026年4月15日)で示した案では、次の数値が示されています。国の基本方針に書き込み、市町村がそれに沿って認定するかどうかを判断する仕組みです。施行は2027年4月1日の予定で、2026年10月1日時点では正式に決まっていません。
- 遮光率:30%未満(遮光率は、設備の真下の農地の面積に対して、パネルなどの設備を真上から見た面積が占める割合)
- 遮光率で判定しにくい設備:作物が育つ期間を通じて、農地のどの地点でも日射量の減少が20%未満
- 最低地上高:おおむね3m以上
- 支柱の間隔(農業機械が進む方向に対して、左右の支柱のあいだ):おおむね4m以上
- 収量:同じ市町村の同じ年の平均と比べて、おおむね2割以上減らないこと
- 営農者:地域計画で10年後の農業を担う者として位置づけられ、栽培する品目で50万円以上の生産・販売の実績などがあること
- 地域の合意と利益還元:地域の協議会と地域計画の協議の場で合意を得ること、発電事業者から営農者へ適正な利益還元があること

異なる意見もあります: 自然エネルギー財団(公益財団法人)は2026年3月5日の提言で、遮光率を30%未満に制限する案と、米・麦・大豆を推奨する案の2点について「ソーラーシェアリングの実態から大きくかけ離れている」と指摘しています。提言では、沖縄県名護市で遮光率51%の状態でコーヒーを無農薬で生産している例や、ぶどう・ブルーベリー・緑茶など多様な作物がパネルの下で作られていることが紹介されています(出典: 自然エネルギー財団 2026年3月5日提言)。
「遮光率30%未満という基準が現場に合わないケースはあるか?」
国の検討会(第5回)では、「30%未満が妥当」という意見の一方で、「30%を少し超える設備で適正に農業が行われているものもある」という意見も出ています。また国の案には、公的機関による複数年の試験栽培の結果など科学的な根拠を示せる場合に限り、国と都道府県の助言を受けて、市町村が設備の形(遮光率など)について特例を定められる仕組みが入っています。都道府県の機関と試験栽培を行う場合も同じです。根拠を示せる場合の限られた例外で、30%を超える設備が広く認められるわけではありません。
③一時転用の新ガイドライン
2024年3月25日付のガイドライン(5農振第2825号、2025年3月31日に一部改正)が、いまの制度の核心です。設計・営農計画・撤去の3点セットで書類を準備することが求められます。
ガイドラインが定める主な要件
農水省が制定した「営農型太陽光発電に係る農地転用許可制度上の取扱いに関するガイドライン」(令和6年3月25日付)では、以下の観点が詳しく定められています。
1. 設備要件
- 支柱部分のみを一時転用の対象とする(パネル下の農地は継続農地扱い)
- 設計図書(基礎・支柱・パネル配置を示す図面)の提出が必須
- 撤去に必要な費用を設置者が負担することを証する書面を提出(撤去に必要な資力と信用があることも許可の基準。FIT・FIPを使う場合は、制度にもとづく撤去費用の積立ても考慮)
2. 営農計画要件
- 栽培計画と収支の見込みなどを書いた「営農計画書」を作成
- 「営農への影響の見込み」と、その根拠(地域の収量・品質のデータ、普及指導員などの意見書、先に栽培している人の実績のいずれか)を添付
- 毎年、栽培実績書と収支報告書を翌年2月末までに許可権者(都道府県知事または指定市町村の長)へ提出(栽培実績は普及指導員などの確認を受ける)
3. 地域計画との整合
- 農地が「地域計画」の対象区域内に含まれる場合は、事前に協議の場での合意取得が必要
- 地域計画は、農業経営基盤強化促進法(第19条)にもとづいて市町村が定める計画です
経過措置の確認
2024年4月1日より前に許可を受けた設備は、許可期間が終わるまでは従前の扱いです。ただし、許可権者による進み具合の確認・現地調査・改善の指導などは、既存の設備にも適用されます。次に許可を取り直すとき(再許可)は、いまのルールで判断されます。
2027年4月からの新しい仕組みについては、2026年7月に示された省令の案で、次の経過措置が示されています(案。2026年10月1日時点で未決定)。
- 施行の時点で審査中の申請は、従前のルールで判断する
- すでに許可を受けている設備が、同じ事業のために許可を取り直すときは、当分の間これまでのルールを使う
- 施行から4か月以内で、その市町村が営農型太陽光の方針と区域を定めた基本計画を作るまでの間に出された申請は、これまでのルールで審査する
いま動いている設備は、これまでどおりの手続きで許可を更新するのが基本とされていますが、新しい基準に近づけるよう促され、再許可の期間の短縮など、チェックは厳しくなる方向です。
④申請手順と注意点
申請は農業委員会への事前相談から始めます。書類の準備や地域での協議に時間がかかるため、余裕をもって早めに相談してください。
申請フロー

- 農業委員会へ事前相談
- 設計図書・営農計画書の作成
- 地域計画との整合確認(必要な場合は協議の場に参加)
- 正式申請書類を一式提出
- 審査(申請書は農業委員会を通して許可権者=都道府県知事または指定市町村の長に届きます。支柱部分と下部の農地の合計が4haを超える場合は、許可権者が地方農政局に相談することが望ましいとされています)
- 一時転用許可証の交付
- 工事・設置
- 毎年:栽培実績書と収支報告書の提出(翌年2月末まで)
必要書類チェックリスト
- 農地転用許可申請書(様式は申請先の農業委員会で確認。国のガイドラインには様式の例があります)
- 位置図・現地案内図、公図・登記事項証明書など(申請先で確認)
- 営農型太陽光発電設備の設計図(基礎・支柱・パネル配置)
- 営農計画書(栽培計画・収支の見込み)
- 営農への影響の見込みと、その根拠となる資料(地域の収量・品質のデータ、普及指導員などの意見書、先に栽培している人の実績のいずれか)
- 撤去費用を設置者が負担することを証する書面
- 毎年の栽培実績書・収支報告書の提出を約束する書面
申請時の注意点3つ
注意①:農業委員会ごとにローカルルールがある
農水省のガイドラインは全国共通ですが、申請書の様式や添付書類の細かい仕様は市町村ごとに異なります。事前に担当農業委員会に確認するのが最短ルートです。
注意②:地域計画の有無を事前確認
地域計画の区域に入っているかどうかで手続きが変わります(協議の場での合意が必要)。自分の農地が地域計画の区域に含まれるか、農業委員会や市町村に先に確認してから動くことをおすすめします。
注意③:撤去費用の資金計画を先に立てる
撤去費用を設置者が負担することを証する書面の提出と、撤去に必要な資力・信用があることが求められます。事業期間終了後に確実に撤去できる資金計画がない場合は、許可が下りない可能性があります。撤去費用は基礎の種類や規模で大きく変わるため、見積りを取って資金計画に入れてください。
まとめ
2024年4月の農地法施行規則の改正でルールが法令に定められ、さらに2027年4月からの新しい仕組み(案)が示されています。主なポイントは以下の3点です。
- 許可基準の法令化: 国の通知で定めていた許可基準などが農地法施行規則に定められ、ガイドラインで添付書類や毎年の報告の扱いが整理されました。
- 許可期間: 原則3年、担い手・遊休農地の再生・第2種/第3種農地なら10年以内(2018年からの扱い)。毎年の報告はすべての許可で必要です。
- 新しい仕組み(案): 遮光率30%未満、地上高おおむね3m以上、支柱の間隔おおむね4m以上、収量2割減以内など。市町村の認定が許可の条件になる案で、施行は2027年4月1日の予定(2026年10月1日時点で未決定)。
正式な決定の内容や時期によって、申請の要件が変わる可能性があります。最新情報は農林水産省の公式ページと、申請先の市町村・農業委員会で必ず確認してください。
splight へのご相談
ソーラーシェアリングの申請要件や、補助金活用を含めた事業計画の立案については、splight の現地調査・相談サービスをご活用ください。
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よくある質問(FAQ)
Q. ソーラーシェアリングの農地法改正はいつから施行されましたか?
2024年4月1日に、農地法施行規則の改正が施行されました。これまで国の通知で定めていた一時転用の許可基準などが施行規則に定められ、あわせて具体的な取扱いをまとめたガイドライン(令和6年3月25日、令和7年3月31日改正)が示されています。
Q. 一時転用許可期間が10年になるのはどのような場合ですか?
原則は3年以内です。①担い手(認定農業者、認定新規就農者など)が自分の農地や借りている農地で行う場合、②遊休農地を再生して使う場合、③第2種・第3種農地を使う場合は、10年以内になります。毎年の栽培実績と収支の報告、収量がおおむね2割以上減らないこと(遊休農地を再生する場合の最初の許可を除く)は、期間の長さに関係なく求められます。
Q. 新しい数値基準(遮光率30%など)はすでに決まっていますか?
まだ決まっていません。国は2027年4月1日から新しい仕組みに移る案を示し、2026年7月24日から8月22日まで意見を募集しました。2026年10月1日時点で、正式な決定は公表されていません。申請の前に、農林水産省の発表と申請先の市町村・農業委員会で最新の状況を確認してください。
Q. 既存のソーラーシェアリングは新しいルールにすぐ対応が必要ですか?
2024年4月の改正より前に許可を受けた設備は、許可期間が終わるまでは従前の扱いです(現地調査や改善の指導などは既存の設備にも適用されます)。次の再許可は、いまのルールで判断されます。2027年4月からの新しい仕組み(案)では、いま動いている設備は当面これまでどおりの手続きで許可を更新するのが基本とされていますが、チェックは厳しくなる方向です。更新の時期が近い方は、早めに農業委員会へご相談ください。
Q. 遮光率30%の基準が作物に合わない場合はどうすればいいですか?
国の案では、公的機関による複数年の試験栽培の結果など、科学的な根拠を示せる場合に限り、国と都道府県の助言を受けて、市町村が設備の形(遮光率など)について特例を定められる仕組みが示されています。30%を超える設計を考えている場合は、市町村と都道府県に早めにご相談ください。
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