営農型太陽光の経過措置|2027年4月施行前後の申請と許可の更新で確かめること

営農型太陽光の経過措置|2027年4月施行前後の申請と許可の更新で確かめること(アイキャッチ B案)

2027年4月1日に、営農型太陽光(農地の上で発電と営農を両立させる設備)の農地法施行規則の改正が施行されます。施行の前後で、申請や許可の受け直しがどの決まりで審査されるかは、案件の状況によって変わります。

本記事は2026年10月21日時点で公表されている資料(2026年10月発行)に基づきます。決まった内容そのものは営農型太陽光 農地法施行規則と基本方針の改正(施行日・遮光率など基準の数値)で書いています。ここでは、施行の前後で扱いがどう分かれるかと、事業者が今から確かめる点に絞ります。

2027年4月1日の施行で、申請と許可の更新はどの決まりで審査されるか

農地法施行規則の改正は、省令の条文(附則第1条)で、2027年4月1日から施行と定められています。

決まりが変わるときは、変わる前に動いていた案件をどちらの決まりで扱うかが問題になります。これを定めたものが経過措置です。省令の附則(法令の最後に置かれ、施行日や経過措置を定める部分)の第2条にあります。

対象になるのは、農地法第4条第1項(自分の農地を転用する許可)または第5条第1項(権利の移動を伴う転用の許可)の申請をする人です。附則第2条は、次の3つの場合に分けて扱いを定めています。

  • 施行前に申請して、処分が済んでいない場合
  • すでに許可を受けていて、同じ事業で許可を受け直す場合
  • 施行から4か月以内で、市町村の計画が定まる前に申請する場合

現行の決まりと申請の手順は、ソーラーシェアリング 農地法改正2026年版で読めます。

施行前に申請して、処分が済んでいない場合(附則第2条第1項)

施行前に第4条第1項または第5条第1項の許可を申請し、施行の時点でまだ許可・不許可の処分が出ていない場合です。附則第2条第1項は、この処分について「なお従前の例による」としています。

「なお従前の例による」とは、改正前の決まりで処分されるという意味です。施行前に申請を済ませた案件は、施行日をまたいでも改正前の決まりで扱われます。

申請の受付日や、処分がどこまで進んでいるかは、案件ごとに違います。申請先の市町村・農業委員会に確かめてください。

この第1項と、後の章で説明する第3項を、申請した時期で並べると図1になります。

図1|施行前の申請は改正前の決まり、施行から4か月で計画が定まる前の申請は改正前の条文の一部、それ以外は改正後の決まりで審査されることを、2027年4月1日の施行日と7月31日の区切りを入れた時間の線で示した図
図1|申請した時期と、審査に使う決まり

すでに許可を受けていて、同じ事業で許可を受け直す場合(附則第2条第2項・第4項)

第2項の対象と効果

附則第2条第2項は、許可を受け直す場合の定めです。対象は、施行前に第4条第1項または第5条第1項の許可を受けた人が、施行後に同一の事業のために受け直す場合です。第1項により従前の例で受けた許可も含みます。

この場合、当分の間、改正前の次の規定が引き続き使われます(条文の言葉では「なお効力を有する」)。

  • 第30条第2項
  • 第47条第2号の二と第6号
  • 第57条第2号の二と第6号
  • 第57条の4第2項第5号

これらの条文の中身(撤去費用の書面、単収の基準など)は、後の章「改正前の条文と改正後の条文で、何が違うか」で説明します。

第4項の対象と効果

第4項は、次の章で説明する第3項により許可を受けた人が、同一の事業のために許可を受けようとする場合の定めです。附則第2条第4項により、当分の間、改正前の次の規定が引き続き使われます。

  • 第30条第2項
  • 第47条第6号
  • 第57条第6号
  • 第57条の4第2項第5号

第2項と第4項では、効力を持つ条文が違います。第4項には、第47条第2号の二と第57条第2号の二が入っていません。前の許可をいつ、どの決まりで受けたかで分かれる様子を、図2に示します。

図2|施行後に同一の事業で許可を受け直すとき、前の許可を施行前に受けたなら附則第2条第2項、第3項で受けたなら第4項となり、第4項では第47条第2号の二と第57条第2号の二が入らないことを示した分かれ道の図
図2|許可を受け直すときの分かれ道

附則第2条の4つの項を、表1にまとめました。

表1|附則第2条の経過措置の一覧(申請・許可の状況・附則・扱いの表)
表1|附則第2条の経過措置の一覧
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表1|附則第2条の経過措置の一覧
申請・許可の状況 附則 扱い
施行前の申請で処分前 第2条第1項 なお従前の例による
施行前に許可済みで同一事業 第2条第2項 当分の間、旧条文が効力
施行後4か月内で計画前 第2条第3項 旧条文の一部が効力
第3項で許可済みで同一事業 第2条第4項 当分の間、旧条文の一部

自分の計画が「同一の事業」に当たるかどうかは、申請先の市町村・農業委員会に確かめてください。

施行から4か月以内で、市町村の基本計画が定まるまでの申請(附則第2条第3項)

期間

附則第2条第3項の期間は、施行の日から起算して4か月を経過する期間内です。施行日の2027年4月1日を初日として暦で数えると、2027年7月31日までです。

条件

この期間内で、基本計画が定められ、または変更されるまでの間にされた申請が対象です。基本計画とは、農山漁村再エネ法に基づいて市町村が作る計画です。作成の手引きは農山漁村再エネ法のページに掲載されています。基本計画を作成している市町村の一覧は、基本計画作成の取組状況のページで公表されています。

対象の基本計画は、営農型太陽光発電を実施するための方針と区域が定められているものに限ります。

実行計画にも定めがあります。実行計画とは、地球温暖化対策推進法に基づいて市町村が作る計画です。所定の事項を定める、または定めようとする市町村の区域では、基本方針に適合する実行計画が定められ、または変更されるまでの間が基準になります。

対象は、営農型太陽光発電を目的とする申請に限ります。第1項と第2項で従前の例による場合や、効力を有する場合は除きます。

効果

この申請には、改正前の次の規定が引き続き使われます。

  • 第30条第2項
  • 第47条第6号
  • 第57条第6号
  • 第57条の4第2項第5号

第3項にも、第47条第2号の二と第57条第2号の二は入っていません。

自分の申請がこの期間と条件に当たるかは、申請先の市町村・農業委員会、または農林水産省に確かめてください。

改正前の条文と改正後の条文で、何が違うか

経過措置で使われ続ける改正前の条文と、改正後の条文の中身を、省令の条文から主なものだけ短く示します。

  • 第30条第2項。改正前は、撤去費用を設置者が負担することを証する書面と、毎年の栽培実績書・収支報告書を提出する旨の誓約書面の添付を求めていました。改正後は削られます。
  • 第47条第6号と第57条第6号。改正前は、単収(面積あたりの収穫量)がおおむね2割以上減るおそれや、支柱の高さが地上から2メートル以上あることなどを定めていました。
  • 改正後の第47条第6号。設備整備計画(発電設備を整える事業者が作り、市町村が認定する計画)の認定の見込みがないことが、事由になります。
  • 第47条第2号の二と第57条第2号の二。改正前は、義務付けられた行政庁との協議を現に行っていることでした。改正後は、協議、住民への説明、届出などの手続を終えていないことになります。
  • 第57条の4第2項第5号。改正前は、第5条の許可の申請に第30条第2項の書類の添付を求めていました。改正後は削られます。

主な条文の違いを、表2にまとめました。

表2|改正前と改正後の主な条文(第30条第2項、第47条第6号イ・ヘ、第47条第6号、第47条第2号の二、第57条の4第2項5号の改正前と改正後の内容の表)
表2|改正前と改正後の主な条文
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表2|改正前と改正後の主な条文
条文 改正前 改正後
第30条第2項 撤去費用・誓約の書面 削られる
第47条第6号イ 単収おおむね2割以上減 削られる
第47条第6号ヘ 支柱の高さ2m以上 削られる
第47条第6号 (イ・ヘは上記) 計画の認定見込み無し
第47条第2号の二 協議を現に行っている 協議・説明等が未了
第57条の4第2項5号 第30条第2項の書類 削られる

遮光率など基準の数値は、施行規則と基本方針の改正の記事で説明しています。

事業者が今から確かめること

資料に書かれている事実をもとに、確かめる項目と確かめ先を挙げます。許可が下りるかどうかの見込みは、この記事では扱いません。

市町村の計画の有無

自分の市町村に、営農型太陽光発電の方針と区域を定めた基本計画があるかを、市町村に確かめてください。定める予定があるかも確かめます。基本方針(2026年10月9日告示で一部改正)では、市町村が営農型太陽光発電設備を基本計画に位置づける場合、原則として設備の形状と実施の形態を明記するとされています。

実行計画を定める、または定めようとする市町村かどうかも、あわせて確かめます。

営農者の要件

基本方針では、営農者について次のような要件を挙げています。

  • 地域計画(市町村が地域の農業の将来の姿を定めた計画)の区域内に設置する場合は、営農者が地域計画に農業を担う者として記載されていること。
  • 下部の農地の農作物について、年間50万円以上の生産・販売実績等を有しているなど、業としての農業の持続性が確保されていること。

営農者の要件の全体は、基本方針の該当する章(第2の1(6)②)で確かめてください。

この50万円が税込か税抜かは、資料に書かれていません。実績の数え方は、市町村・農業委員会に確かめてください。

設計の目安

基本方針は、遮光率30%未満、最低地上高おおむね3m以上、農業機械の通路の幅おおむね4m以上を挙げています。

申請の時期

申請する時期が次のどれに当たるかを、申請先と確かめてください。審査に使う決まりとの関係は図1のとおりです。

  • 施行日(2027年4月1日)より前
  • 施行日から4か月の期間内(2027年7月31日まで)で、計画が定まる前
  • 市町村の計画が定まった後

設備整備計画の認定

基本方針では、設備整備計画の認定の申請先は市町村です。認定にあたっては、計画を実施する期間(認定実施期間)が定められます。

認定実施期間の満了後も発電を続けるには、改めて設備整備計画を作り、期間満了までに市町村の認定を受ける必要があります。基本方針では、市町村の指導を受けても必要な改善をしていない場合、改めて申請しても認定しないとしています。

再認定が行われなかった場合などは、市町村が認定を取り消すことができます。単収がおおむね2割以上減った場合などで営農の継続が確保されなくなったときは、市町村が改善措置を指導します。

確かめる項目を表3にまとめました。

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表3|事業者が確かめる項目
確かめること 基準など 確かめ先
基本計画の有無 方針と区域の定め 市町村
実行計画の有無 基本方針に適合 市町村
地域計画への記載 農業を担う者 市町村・農業委員会
生産・販売の実績 年50万円以上等・税記載なし 市町村・農業委員会
申請の時期 施行日・4か月の期間 市町村・農業委員会
認定実施期間 満了までに再認定 市町村

問い合わせ先

制度の問い合わせ先は、農林水産省大臣官房環境バイオマス政策課 再生可能エネルギー室です。意見募集の結果の公表資料(2026年10月9日)に、代表03-3502-8111(内線4341)、直通03-6744-1508と記載されています。

株式会社splightができること

株式会社splightは、営農型太陽光について、次のことを全国で行います。

  • 制度の説明
  • 見積書と仕様書の作成
  • 設備の設計と発電量の試算
  • 設置工事

設計では、遮光率30%未満、最低地上高おおむね3m以上、通路の幅おおむね4m以上を踏まえた配置を考えます。その配置での発電量も試算します。

一方で、許可の申請書や設備整備計画の作成・入力・提出の代行は、当社ではしません。2026年1月に施行された行政書士法の改正によるものです。申請先の確認は、事業者ご自身で市町村・農業委員会に行っていただきます。

よくある質問

Q1. 2027年4月1日より前に申請して、施行日までに許可が出なかった場合はどうなりますか。

附則第2条第1項により、施行の際に許可または不許可の処分がされていない申請は、なお従前の例によります。改正前の決まりで扱われるという意味です。申請の状況は、申請先の市町村・農業委員会に確かめてください。

Q2. すでに許可を受けている発電所で、同じ事業のために許可を受け直すときは、どちらの決まりですか。

附則第2条第2項により、当分の間、改正前の第30条第2項、第47条第2号の二と第6号、第57条第2号の二と第6号、第57条の4第2項第5号が、なおその効力を有します。対象は、その許可の事業と同一の事業のために許可を受けようとする場合です。同一の事業に当たるかは、申請先に確かめてください。

Q3. 施行から4か月の期間とは、いつまでですか。

施行の日の2027年4月1日から起算して4か月を経過する期間で、暦で数えると2027年7月31日までです。この期間内で、市町村の基本計画(または実行計画)が定められ、または変更されるまでの間にされた申請が対象です。営農型太陽光発電を目的とする申請に限ります。

Q4. 第3項の基本計画は、どの計画でもよいのですか。

農山漁村再エネ法第5条第1項の基本計画のうち、営農型太陽光発電を実施するための方針と区域が定められているものに限ります。自分の市町村の基本計画にこれらが定められているかは、市町村に確かめてください。

Q5. 営農者には、どのような要件がありますか。

基本方針では、地域計画の区域内に設置する場合、営農者が地域計画に農業を担う者として記載されていることとされています。また、下部の農地の農作物で年間50万円以上の生産・販売実績等を有しているなど、業としての農業の持続性が確保されていることとされています。この金額が税込か税抜かは、資料に書かれていません。

Q6. 制度について、どこに問い合わせればよいですか。

農林水産省大臣官房環境バイオマス政策課 再生可能エネルギー室です。代表は03-3502-8111(内線4341)、直通は03-6744-1508です。個別の申請については、申請先の市町村・農業委員会にも確かめてください。

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